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hort story

バス停
頭を抱えた青少年がバス停のベンチに座っていた。
その隣には彼女に電話している大学生。
その隣にはネクタイを締めるのがやっと慣れて来た新入社員。
その隣には営業の合間にパチンコに行っているサラリーマン。
その隣には昨日定年を迎えて、頭が真っ白になっている元裁判官。
その隣には手が震えている赤ら顔のおじいさんが並んでいた。
その隣には俺が並んでいる。
なんだかこの狭い場所で、男の一生を見せられた様で気が滅入り、
俺は何となくそのバス停を離れた。

- written by kim -

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