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hort story

釣った魚
湖で釣って来た魚がどういう訳か元気が無い。

食べるつもりが無いという事に気づいてしまったんだろうか?
鑑賞するために釣った訳ではないけど、
タイミングを逃したまま水槽で飼っていて、なんだか食べるのが可哀想になっていた。
その事を友人に話すと、
「そりゃ、あたりまえさ。魚は狭い所が大嫌いなんだ。
 早く食ってやれ、今の状態は拷問に近い」
だ、そうだ。
俺は急いで部屋に戻り、まな板と包丁を用意した。
それを見た魚は急に暴れ出した。
食べられるのが嫌なのか、それとも水槽から解放されるのが嬉しいのか、
俺には判断出来なかった。
まな板に横たわった魚はもう動かなかった。
俺はエラのあたりに包丁を当てた。
魚はゆっくりと目を閉じた。

- written by kim -

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