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hort story

まっすぐな廊下
今さっき夢に出て来た場面がどうしても気になったので、そこに行くことにした。
と言ってもその場所がどこにあるか、果たして実在するのかどうかも分からない。

こんな時に必ず電話をかける場所がある。

夢判別株式会社というこの会社は、なんと気になる夢の内容を話すと、その夢の場面を特定したり、そこに登場した人物を見つけてくれたりする。
これまで何度か利用したが、実際に教えてもらったその場所に行ったことはまだ無かった。

とりあえず電話をかけてみた。

もしもし、あまりにまっすぐな廊下が夢に出て、なんか気になって電話したんですけど

あーどもー久しぶりですーまっすぐな廊下ですかーよくある夢ですねー、しかしですね、それは廊下ではありません。乾燥した象の鼻の中ですねー
つまり寝てる間に喉が渇いて見た夢のようですーそれでは失礼しますー


そこで電話は切られた。

相変わらずな早口の説明に思わず納得させられてしまう。

早速水を飲もうと冷蔵庫のドアに手をかけた。
するとそれは冷蔵庫のドアではなく、パサパサに乾いた象の耳だった。


と、そこで俺は目が覚めた。俺がしっかり握っていたのは、枕の端についたかわいいヒラヒラだった。

- written by kim -

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