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hort story

そこに座りたい
福岡行きの飛行機の時間までロビーのソファに座って待っていた時、ふと前から近付く男に気付いた。
電卓か何かをひたすら押しながら頭を抱え、ソファを指差し、何か確認しながら段々こちらにやってくる。とうとう俺の目の前に立ち、
『ここだ』
とその男は呟いた。

『明太子を買っていたお前を見て、そのだらし無い買い方はまだ時間がある確率8%。さらにほっぺが少し赤かったからなるべく近いベンチに座る確率85%。
右手に大きなバックを持っていたから右側一つ開けて座る確率9%。さらにキョロキョロと矢印を目で追っかけてたおまえは電光掲示板の前に座る確率95%!
さらに、おでこが日にやけてヒリヒリしてるから冷風が来る場所に座る確率99%!!

ここまで予想し、先回りしてこの席に座ってやろう!と考えた私が犯した1%の誤算はおまえが明太子をトイレで置き忘れ、少し身軽になって早めにここに到着したからだ!
だからこの席を私に譲ってください。』


・・・いやだね。

- written by kim -

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