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hort story

お餅
つきたての餅を通行人に振る舞っているホテルの社長がこう言った。
「これは日頃の感謝のしるしです、どうぞどちら様も食べていってください」
それを聞いて、近くで暮らしてた浮浪者が近寄って来た。
社員達はあからさまに怪訝な顔になり、浮浪者を遠ざけようとした。
それを見た社長が社員を怒鳴りつけた。
「彼はいつもホテルの周りにいて、ゴミを拾ってくれているんだ!
 彼に特製の餅を渡しなさい!」
そう言われた社員はしぶしぶ特別に用意されていた少し大きめの餅を浮浪者に手渡した。
それを受け取った浮浪者は、少し戸惑いながらも歩きながらその餅をほおばった。
するとなんだか浮浪者の様子がおかしい。
特製の餅を喉に詰まらせているらしい。
助けを呼んでもらおうと浮浪者はなんとか振り返った。
そこにはニヤついた顔でこっちを見ている社長が見えた。
「なるほど、そうゆう事だったのか。。。」
遠くなる意識の中、浮浪者は全てを理解した。

- written by kim -

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