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hort story

鬼夜
福岡ツアーの合間に久留米の古い祭に行ってきた。
鬼夜という火祭り。
16年前から延々と続いているらしい。
大善寺駅を降りて5分位歩くと鳥居が見えてくる。寺なのに鳥居が見えてくる。
つまりそれくらい古いって事だ。

中に入っていくと意外に小さい敷地に驚く。出店屋台も15件位だろう。
さらに中に入っていくと、そこに、用意されている五本のビックタイマツを見つけた。
長さ7メートルのぶっといタイマツ。

ここでこれに火を付けて練り歩くらしい。
ホントに???
とか思って待ってると、変わった掛け声と共に4人のフンドシ男がなだれ込んで来て、おもむろにタイマツに火を付けた。

観客との間に仕切りも無く燃え上がるタイマツ。
一気に寺の温度が上がり、辺りが明るくなった。

その時、目の前に若いお母さんに抱かれた赤ちゃんがいることに気付いた。

その赤ちゃんはニコニコとタイマツの上の方を見ながら手を降っている。最初なんとも思わなかったけどあまりにしきりと手を振るので、
何に手を振ってるの?
と聞いてみた。
すると赤ちゃんは
『色んな色した鬼達が面倒くさそうに荷物をまとめて離れていくの。毎年この日だけは出ていくんだって。』

と話してくれた。
びっくりしている俺に気付いた母親は訝しそうにその場所から離れていった。

- written by kim -

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